賃金の男女差別で会社に賠償判決 金沢地裁

金沢に本社を置く機械器具設置工事会社に勤めていた県内の女性が、女性であることを理由に男性との間に賃金格差があったとして、会社に対し損害賠償を求めていた裁判で、金沢地裁は26日、会社の男女差別を認め、賃金の男女差別を禁じた労働基準法に反するとして、約440万円の支払いを命じました。

 この裁判は金沢市内に本社を置く機械器具設置工事会社の富山市内の事業所に勤務していた富山市の60代の女性が「男性と同じ仕事内容にもかかわらず、賃金や退職金に格差があるのは男女差別」として会社に対し、約2,200万円の損害賠償を求めていたものです。

 訴状などによりますと、会社は2002年に総合職と一般職に分ける賃金体系が異なる雇用制度を設け、7人いた設計部で唯一の女性の原告だけを一般職にしたということです。女性が2012年1月に定年退職するまで、同部署の男性社員と対等な賃金待遇を認めてもらえず、賃金は月55,000円の差がありました。

 金沢地裁の藤田昌宏裁判長は、賃金体系が異なる会社の雇用制度について、「総合職と一般職の区別は男女の区別すなわち性別の観点によってされている」と指摘しました。その上で、会社側が賃金の格差は「女性の業務遂行能力の低さを原因」とする主張に対しては「女性の能力がどの程度であるかが検討されたことを示す証拠はない」として、時効が成立していない過去3年分の賃金差額などを認め、会社側に約440万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。